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暑い夏の日が少しずつ和らぎ、過ごしやすい季節になってきました。
しかし、まだ秋になっていないにもかかわらず、インフルエンザにかかるお子さんがみられるようになりました。「インフルエンザは冬の病気ではないの?」と思われた方も多いのではないでしょうか。
昨年も同じように、比較的早い時期からインフルエンザの流行がみられました。流行が早まる理由は一つではありません。新型コロナウイルス感染症の流行によって、社会全体でインフルエンザに接する機会が減り、インフルエンザに対する免疫が低下したこと、手洗いやマスクなどの感染対策が以前より緩やかになったこと、イベントや行事などで人が集まる機会や人の移動が増えたこと、さらに流行するインフルエンザウイルスの種類が変化したことなど、さまざまな要因が考えられています。
今回は、インフルエンザについて検査のタイミングと治療薬、予防接種についてお話します。
➀子どものインフルエンザでは、どんな症状がみられる?
インフルエンザでは、突然の発熱に加えて、次のような症状がみられます。
- • 頭痛
• 筋肉痛、関節痛
• 強いだるさ
• 寒気、悪寒
• 咳
• 鼻水
• のどの痛み
お子さんによっては、全身のだるさが強く、歩くことが難しくなったり、水分や食事がとれず、ぐったりした状態で受診されたりすることもあります。
特に乳幼児は、自分で「つらい」「水分がとれない」とうまく伝えられないことがあります。そのため、普段と比べて元気があるか、水分がとれているか、おしっこが出ているかをよく観察することが大切です。
②インフルエンザはいつ受診すればいい?
インフルエンザかもしれないと思って医療機関を受診すると、医師から「いつから熱が出ましたか?」と聞かれることが多いと思います。
これは、インフルエンザの検査結果が、発症してからの時間によって変わることがあるためです。
発熱してすぐの段階では、鼻やのどにあるインフルエンザウイルスの量がまだ少なく、感染していても検査で陰性になることがあります。これを「偽陰性」といいます。
そのため、発熱直後に検査をすると、実際にはインフルエンザに感染しているのに、検査では陰性となることがあります。
③インフルエンザの検査は、発熱後何時間で受ける?
「検査が正確になるまで、発熱してから12時間くらい待ったほうがよいのでしょうか?」
このように思われるかもしれません。
確かに、発症直後よりも、ある程度時間が経過してからのほうが検査でウイルスを検出しやすくなる場合があります。しかし、発熱してから12時間経たないと受診してはいけない、という意味ではありません。
検査のタイミングは、お子さんの症状や周囲での流行状況、診察時の状態などを考慮して判断します。発熱してすぐであっても、症状が強い場合や全身状態が悪い場合には、早めの診察が必要です。
④抗インフルエンザ薬は、いつまでに使う?
「検査のために、2~3日待ってから受診したほうがよいのでしょうか?」
そうではありません。
抗インフルエンザ薬は、一般的に発症から48時間以内に治療を開始すると、発熱期間を短くするなどの効果が期待できます。
風邪をひいたときに、「風邪には抗菌薬は効かないので、自分の免疫で治していきましょう」と説明されることがあります。抗菌薬は細菌による感染症には効果がありますが、ウイルスによる感染症には効果がありません。
抗インフルエンザ薬は、インフルエンザウイルスを直接「やっつける」薬というよりも、体の中でウイルスが増えて広がることを抑える薬です。そのため、ウイルスが盛んに増えている発症早期に使用することが重要になります。
ただし、発症から48時間を過ぎたら、薬がまったく効かなくなるわけではありません。お子さんの症状や年齢、基礎疾患などによっては、48時間を過ぎていても治療が必要になる場合があります。薬を使用するかどうかは、診察のうえで判断します。
つまり、
検査は早すぎると陰性になることがある一方、治療薬は早く使うことが大切
ということです。
受診のタイミングは「何時間たったか」だけで決めない
元気があり、水分もとれているお子さんであれば、発熱直後に慌てて受診する必要がない場合もあります。
一方で、次のような症状がある場合は、発熱してから何時間たったかにかかわらず、早めに医療機関を受診してください。
- • ぐったりしている
• 水分がとれない
• おしっこが少ない、または出ていない
• 呼吸が苦しそう
• 顔色が悪い
• 意識がもうろうとしている、反応が悪い
• けいれんがある
• 嘔吐を繰り返している
• 強い頭痛や歩行のふらつきがある
インフルエンザが疑われるときは、検査のタイミングも大切ですが、それ以上にお子さんの全身状態をみることが重要です。
⑤インフルエンザの予防接種は、いつから効果が出る?
インフルエンザの予防には、予防接種も大切です。
インフルエンザワクチンは、接種したその日から十分な効果が出るわけではありません。注射によるワクチンでは、接種後およそ2週間から予防効果が期待され、免疫反応はその後さらに高まっていきます。一般的には、予防効果は接種後およそ5か月程度続くとされています。
ただし、効果の程度や持続期間には個人差があります。また、流行するウイルスの種類とワクチンに含まれるウイルスの種類がどの程度一致するかによっても、発症予防効果は変わります。
そのため、インフルエンザが流行する時期を考え、流行が本格化する前に接種を済ませておくことが望ましいと考えます。小さなお子さんでは複数回の接種が必要になる場合がありますので、接種間隔も含めて早めに計画することが大切です。
⑥インフルエンザワクチンは、発症だけでなく重症化も防ぐ
ワクチンを接種しても、インフルエンザにかかることはあります。
しかし、ワクチンには、発症を予防するだけでなく、重症化を防ぐという重要な役割があります。
ここでいう重症化とは、入院が必要になる状態や、入院に相当するような重い状態を指します。インフルエンザ脳症などの重い合併症を完全に防げるわけではありませんが、重症化するリスクを下げることが期待されています。
「ワクチンを接種したのにインフルエンザにかかった」と感じることがあるかもしれません。しかし、ワクチンの目的は、感染を完全に防ぐことだけではありません。症状を軽くしたり、重症化を防いだりすることも大切な効果です。
⑦予防接種〜注射のワクチンと鼻にスプレーするフルミスト〜
インフルエンザワクチンには、これまで行われてきた注射によるワクチンに加えて、鼻にスプレーするタイプの「フルミスト」もあります。
フルミストは、鼻の中にスプレーするタイプのワクチンです。注射が苦手なお子さんにとっては、注射をせずに接種できることがメリットの一つです。対象年齢や接種できない場合がありますので、接種前に確認が必要です。
フルミストについては、海外で行われた研究で、接種後1年間にわたる予防効果が報告されたものもあります。
ただし、これは海外で行われた研究の結果です。フルミストを接種すれば、すべてのお子さんで必ず1年間効果が続くという意味ではありません。研究の対象となった人たちの中で、そのような効果が確認されたということです。
また、日本でフルミストが使用されるようになってからは、注射によるワクチンほど長い使用経験があるわけではありません。今後、日本でのデータがさらに蓄積されていくことが期待されます。
現在のところ、注射によるワクチンとフルミストのどちらが明らかに優れているとは、一概にはいえません。それぞれに特徴がありますので、お子さんの年齢や体調、接種への希望などを考慮して選択するとよいでしょう。
⑧受診するタイミングは、お子さまの状態を見て判断
インフルエンザが疑われるとき、
「熱が出てから何時間たったら受診すればよいの?」
と、時間だけを気にしてしまいがちです。
確かに、検査の精度や抗インフルエンザ薬の効果を考えると、受診のタイミングは重要です。
しかし、それ以上に大切なのは、お子さんがどのくらい元気なのか、水分がとれているのか、おしっこが出ているのか、呼吸が苦しくないのかということです。
検査のために少し時間をおいたほうがよい場合があっても、具合の悪いお子さんを「12時間たつまで待つ」ということではありません。
「何時間たったか」だけではなく、「今のお子さんの状態」をみて受診する。
これが、インフルエンザが疑われるときの大切なポイントです。
お子さんの様子で心配なことがあれば、早めに医療機関へご相談ください。
土曜日、日曜日は16時まで診療しております。どうぞお気軽にお越しください。




